滋賀県立米原高校 英語科教諭

堀尾 美央

Horio Mio
2009年3月 英米学科 卒業

英語教育を通して
人間性を育む。
グローバルティーチャー賞に
選出された英語教師。

大学在学中の2つの体験が、
教師を志すきっかけに。

「教育界のノーベル賞」と言われる“グローバルティーチャー賞”の2018年度上位50人に、日本人で唯一選ばれた堀尾さん。昔から英語が得意だったのかと思いきや、中学1年生の頃は苦手教科だったそうです。堀尾さんに転機が訪れたのは、海外の人と文通ができる通信講座を始めた頃。同世代の外国人とコミュニケーションを取れることが楽しくて、ぐんぐん英語が上達し、中学3年生になるころには学校で成績トップ3に入っていたそうです。
高校でも英語への学習意欲は高く、大学では英語を専攻することに。尊敬していた高校の英語教師が卒業生ということもあり、神戸市外大への進学を決めました。
入学当初は自分が英語教師になるとは思っていなかった堀尾さん。きっかけとなったのは在学中の2つの出来事でした。1つは文通相手だったスリランカの友人を訪ねたこと。内戦が終わったばかりのスリランカの街は物乞いをする人も多く、雑然としていたそうです。日本では報道されない光景を目の当たりにし、こうした世界の現実を日本の人たちに伝えたいと思ったと言います。そして、もう1つの出来事は、教育実習。当時は強い思いを持って教員免許取得を目指していたわけではありませんでした。しかし、実習先の生徒たちが慕ってくれたことで自分の存在意義を感じたそうです。そうした2つの出来事が重なり、大学卒業後は、高校で英語教師として教鞭を執ることとなりました。

これまでにない授業スタイルをつくったのは、
赴任当初の“違和感”。

大学のゼミで学んだスピーチコミュニケーションの“話すテクニック”を活かしながら、英語教師として教壇に立つ毎日。しかし、堀尾さんはある違和感を覚え始めます。これまで自分にとって英語は文通相手とコミュニケーションを取ったり、大学では外国の文化や歴史を知ったりするためのツールだと思っていました。ところが、赴任先の高校ではテストや受験で点数を取ることに重点が置かれていたのです。大学を受験しない生徒には「自分には必要のない勉強」とまで言われることも…。それまで英語が好きで学んできた堀尾さんにとってはショックな事実でした。「成績や受験のための英語ではなく、英語を通して世界を広げてあげたい。」という思いから取り組んだのが、在学中に学んだ「内容重視型教授法」を取り入れた授業。ただ英語を訳すだけでなく、文章に書かれている内容を深堀りしてしっかり理解するというものです。そうして授業内容を試行錯誤している時に出会ったのが、同じ高校の生物教諭の授業。インターネット電話のスカイプを使って旭山動物園の職員と話すというもので、「これは英語の授業でも使えるかもしれない!」と閃いたそうです。それが、グローバルティーチャー賞を受賞した授業を始めたきっかけでした。

国際交流を通した英語教育を、もっと日本の教育機関に広めたい。

早速、文通で知り合った海外の友達に、現地の高校とスカイプを使った交流ができないかとお願いすることに。しかし、時差などの問題があり、なかなか実現することができませんでした。構想から約2年が経った頃、堀尾さんの知人がオンラインで教育の国際交流をサポートするNPOを設立。そこから、オンラインでベトナム、カンボジア、スペインなどの海外の学生と交流する授業が始動しました。授業を始めてから、生徒の英語への意識にも変化が。「英語でコミュニケーションできるってすごいと思った!」「質問に答えられるようになりたい!」など、前向きに英語を学ぼうとする生徒が増えたのです。スカイプを使った授業は、国際理解を促す教育として高く評価され、2018年度のグローバルティーチャー賞の上位50人に、日本人で唯一選出されました。 堀尾さんが今も昔も変わらずに信念として持っていることは、“教育は人間性を育むことが最も重要である”ということです。今までの教育は現実社会と離れていることが多いため、生徒も「なぜ勉強しなくてはいけないのか」という疑問を持ってしまいます。しかし、本来学校の勉強は社会で役に立つもの。これからの教育を現実社会と結びつきのあるものに変えていくのが堀尾さんの目標の1つ。そのためには、堀尾さんが行ったスカイプ交流の取り組みなどは、もっと世の中に広めていく必要があります。まだまだそういった新しい取り組みに躊躇する学校も多いため、堀尾さんはこれまでの知見を惜しみなく世の中に発信し、サポートしていきたいと考えています。

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